笑顔を忘れない(2)
💖D・カーネギー著「人を動かす 文庫版」P89より ※画像(生成AI)は本文とは関係ありません。
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笑顔を忘れない(つづき)
病院の待合室は、順番を待つ人たちの陰気な顔が並び、暗い雰囲気に包まれているものである。ミズーリ州レイタウンの獣医、スティーブン・スプラウル博士の話だが、ある春の日、診療所の待合室には、予防注射のためにペットを連れてきた人たちが詰めかけていた。皆、黙りこくっている。無駄な待ち時間を持てあまし、いら立っているのだ。その時のことを博士はこう話してくれた。
「客はまだ6、7人いたと思いますが、生後9か月ほどの赤ちゃんと子猫1匹を連れた若い母親が入って来ました。先ほどから不機嫌な顔つきになっていた紳士の隣に、この母親が偶然腰をかけました。すると、抱かれていた赤ん坊が、満面に笑みをたたえてこの紳士を見上げたのです。この紳士は、どうしたと思います? もちろん、微笑み返しました。そして、若い母親と、赤ん坊のことや自分の孫のことなど、あれこれとおしゃべりをはじめました。やがて、待合室にいた全員がおしゃべりに加わり、それまでのいら立った空気がほぐれて、楽しい雰囲気に一変しました。
(後略)
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出典:D・カーネギー著「人を動かす 文庫版」(株式会社 創元社)
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