ここでご紹介するのは、父が他界した直後から新聞広告の裏や封筒などに突然書き出した、トミスケの「詩」(うた)です。当初は俳句のようなものから始まりましたが、その後には長い詩のようなものまであったりして、正直なところ何と呼んだらいいのか私には分かりません(笑)。
でもどんな呼び方であれ形式がどうであれ、そんなことよりも、認知症の母がこのようなことを書いたこと自体が本当に驚きですね。

 

家族や親戚などみんなが驚いたのは、誰一人母の口からこのような思いを聞いたことなど一度もなかったということです。「あの当時の母は、既にこんなことが書けるような認知レベルではなかった!」とは、看護師一筋の妻masaの言葉。まさに、認知症のイメージが変わったトミスケの「詩」です。
もしこれがあなたの親御さんだったら?・・・という思いでご覧いただければ、私たちの驚き・感動が少しはお分かりいただけるかもしれませんね。

※詩の一部がダウンロードできます。 話せないだけで、心はこんなに豊か! トミスケの「詩」

YouTube  トミスケの「詩」

 


 

ぢいさんやぢいさんや
遠いお空のぢいさんや
我が家の風景見えるかな
見えるとも見えるとも
お前は一寸ドジダケド
とうちゃん かあちゃん
やさしくて

それをまねてか孫までも
それをまねてか
やさしくて

 

以下に掲載する「詩」は、母が書いたものをパソコンに書き留めながらも、その後何回も取り出しているうちに原紙が紛失し、現在は書き写した文字だけで残っているものです。
本来なら縦書きで・・・と思いますが、ここでは横書きで掲載しています。

 

私の一生 どちらかな
エンマ様にききましょう

 

ユキンコや
早くわたしに 春よ来い

 

困るねェ
ミルクトラパン つるつるだ

 

見せろ見せろ 顔見せろ
落とした入れ歯 取りに来い

 

去る君の
長き旅路よ すこやかに

 

さびしさや
コオロギの鳴く音にも 涙して

 

ミルクあめ
家族の心に 涙する

 

家族づれ
夫も喜ぶ りんごがり

 

やさしいやさしい 家族のみなさんへ
たよりないばあですが
くれぐれもよろしくお願いします

 

おきたれど
何をやっていいやら手につかず
又 フトンえもぐりこみました
御免なさい 正ちゃん つとめですか
もう少し休んだら がんばります

 

父親よ
どこへ行くのか 妻すてて

 

夫の死とは つゆしらず
胸のざわめき あわれなり

 

しばらく おじいちゃんの事は
言わないでね
今頃は どこに居るでしょうね

 

過ぎにしことは 忘れなん
たずねし人の笑い声

 

 

旅立った父も一緒にリンゴ狩り?
最後の1枚は二人の孫が書いたもので、母の行動を真似て書いたようです。枠線で囲った3点は母トミスケの書いた「詩」で、他は孫たちの作です。
信州のりんごがりが出てきますが、父の他界後、母を元気づけるために4人でリンゴ狩りに行ったことを書いているようです。トミスケの「家族づれ 夫も喜ぶ りんごがり」と表現されていることを???と思われますが、実は、天国の父も一緒に出かけていたのです。種明かしはこの動画の中に・・・。