人間の心の力を、年の初めに考え直したい

💖松下幸之助著「続 道をひらく」P16より ※画像は本文とは関係ありません。
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心の力

ウルシにかぶれやすい人がいる。その人に眼をつぶってもらって、柿の葉でサラサラと手をなで「ウルシの葉にさわったよ」と言う。と、たちまち全身にかぶれの現象が起こってきて、その人はもがき苦しむという。心に思ったことが、そのまま形にあらわれてくる一つの例であろう。
心の作用というものは不思議なものである。〝なせばなる〟ということも〝ならぬは人のなさけなり〟ということも、単に精神主義とだけでは片づけられない人間の本質の一面をついているように思われる。
この不思議な心の作用も、昨今のようにこうも物が豊富になってくると、いつしか物のみにもたれてしまって、心の力が力として働いてこないようになりがちである。いうなれば喪心である。
心があって物があって、その心の力が物の力を支配して、はじめて人としての真のゆたかさが生まれてくる。物心一如か心物一如か、いずれにしてもせっかくのこの人間の力を、もっともっと認識し直したい。この年のはじめに、シャンとしてもう一度考え直してみたい。

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出典:松下幸之助著「続 道をひらく」(PHP研究所)
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